データからはじき出される数値を元に徹底した品質管理。
その品質管理ノウハウも、ご提供いたします。
日本屈指の「ねじの街」、大阪市西区。「洗い」や「ねじきり」といった工程を担う町工場が軒を連ね、ねじのスペシャリストが集まる一帯だ。ここには日々ねじに関する悩みが全国から寄せられる。
PCトルクアナライザーの販売も手がける
強すぎると母材が壊れる。弱ければ締まらない。どれだけの力でねじを回せばいいのか。安全性と効率化が求められるメーカーの製造現場では、最適なトルクを探るため担当者がドライバー片手にテストを重ねている。手間も時間もかかる作業だが、結局のところベストな着座ポイントは分からないのが実情だ。ある日、「お客様にきちんと説明できるようなデータが欲しい」と、照明機器メーカーの開発担当者がやって来た。
「自社で何度テストしても信頼できる結論がでない」と悩んでいた彼が思い出したのが、展示会で見たPCトルクアナライザーの存在だった。1台600万円もするハイテク検査機を自社で購入できる企業は少ない。こうした相談にも、持ち込み検査で応えている。
この日は、アクリルのケースにアルミ蓋を取り付けるパーツのテスト。ワークを受け取りねじドクターの砂邊康之は言った。
「これなら0.3秒で分かりますよ」
慣れた様子でグラフを描く砂邊
瞬時に出る診断結果に誰もが驚く
驚くお客様を前に、まずはホワイトボードにグラフを描きデータの読み方を解説した後、PCトルクアナライザーを動かす。ディスプレイに映し出された波形から、ねじ山の破壊ポイントや回転スピードなどを読み解く。砂邊がこれまでに“診断”したねじはウン万本。さらに「これならノンサートに変えた方が母材への負担が少ない。現場でのロスも減るのでは」と、世界中からベストな1本を“処方”した。ドクターさながらの仕事ぶりにメーカー担当者も驚く。
整然と並んだ在庫から最適な一本を選び出す
「値段だけならカタログを探して安い中国製を使うけれど、われわれは信頼や品質を求めている。足を運んで相談してよかった」と納得の様子。「ねじが本当にあっているのかを実は見落としがち。ベストなねじを選ぶことでお客様の利益につながるはず」と、“ねじドクター”は今日もあらゆるねじ穴に目を光らせているのだった。